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*新築事例:一押し住宅

イチ押し住宅

イチ押し
キッチン
Mさん夫妻は、食べること、料理をすることも大好き。
奥さんがアジアで仕入れた調味料や食材を使って現地の味を再現したり、ご主人が豆からこだわって丁寧にコーヒーを落としたり。キッチンは、夫婦の大いなる趣味空間でもある。

四季折々の生活を楽しむ、
趣味空間

■旭川市・Mさん宅
■設計/(有)建築計画工房 あとりえコア 石田純枝
 TEL:0166-62-8447
 E-mail:[email protected]

 緩やかな丘陵地に広がる住宅街の角地に、住む人の日々の暮らしぶりがしのばれるような、個性的なお宅がありました。オーナーは、30代のMさん夫妻。旭川の建築家・石田純枝さんに設計を依頼し、2年前の9月に完成しました。
 「夏には夏の、冬には冬の暮らしが楽しめるのが旭川の良いところ。それを最大限に味わえる生活の拠点がほしくて、この家を建てました。僕らにとって家は、より自分らしく生きるための大切な生活の器なんです」と、ご主人。
 設計にあたっては、建物と庭を一体化することで、四季折々の生活が楽しめるよう工夫がなされました。木々が風にさわさわと揺れる庭には、ウッドデッキとパーゴラ。そしてデッキとリビング・ダイニングは、レンガタイルを敷き込んだ細長い土間でつながれています。
 「テラスとパーゴラは、光や風を肌で感じて短い夏を有効に楽しむための、もうひとつのリビングです。床暖房を入れた土間は、逆に長い冬にアウトドアの気配を住まいに呼び込む装置として設けました。住まいの中にこうしたゆとりの空間を持つことで、日々の暮らしが一層豊かになったと思います」。
 住まいとともに、Mさん夫妻の暮らしを華やかに彩っているのが、音楽に映画、読書など、2人で楽しむ多彩な趣味。家の中には、そうした趣味を楽しむための仕掛けも随所に施されています。中でも2階のシアタールームは、映画や音楽を楽しむために設けたご主人自慢の空間。80インチのスクリーンを備えたプロジェクターとサラウンドシステムで、迫力のある映像が楽しめます。DVDやビデオをレンタルしてきては、2人で映画観賞をするのが、冬の定番の過ごし方。また、学生時代にクラリネット奏者としてオーケストラに参加していたご主人は、大のクラシックファン。「好きなCDを思う存分聴くひと時も、また格別」だそう。
 一方、奥さんは大のアジア好きで、年に2〜3回はひとりでタイやマレーシア、バリ島などにでかけているとか。さらに、手仕事や絵を描くのが好きな奥さんは、南米の手芸「モラ」にも取り組んでいます。カバやシナ、マツなどを多用した空間には、その作品と旅先で集めた雑貨や布が美しくディスプレイされていました。
 2人で楽しむ趣味、はたまた、それぞれが追求する趣味の世界。それらが響き合い、Mさん夫妻の住空間と暮らしを個性豊かなものにしています。これからも、ご夫妻の趣味が深まり、広がるほどに、その拠点となる住まいも楽しく進化を続けることでしょう。

My Style
住まいはより自分たちらしく生きるために、愛着を持って育てていく暮らしの器です。
階段室
ハイサイドライトで明るい階段室には、奥さんが旅先で求めたアジアの布が。

土間空間
玄関からリビングへと続く土間空間。その途中には「モラ」の糸や道具、ピアノが置かれた空間も(右)。

リビングダイニング
庭のテラス、土間とつながった広々としたリビング・ダイニング。冬以外は、テラスの出入り口が玄関代わり。


■土間の活用
 室内と屋外を結ぶ空間を設けることで、暮らしがぐんと広がります
 「外に向かって開いているような、開放的な家がほしい」。その要望をかなえるため、庭を居住空間に取り込んだMさんの家。その接点としてつくられたのが、レンガタイル張りの土間空間です。
 玄関からLDKの脇を抜け、ウッドデッキの出入り口へと続く土間の中間には、夫婦で共有する書斎コーナーもあります。約5畳ほどの空間には、ご主人の練習用のピアノとパソコン、奥さんが集めたアジア関係の本と布、手芸用品、材料のストックなどが収納された棚などが置かれています。
 「多趣味なご夫婦なので、家の中に居心地の良いコーナーをいくつもつくりました。住まい自体は、扉を極力使わないオープンな造りですが、こうした空間を設けることで、互いの気配を感じつつ、それぞれに好きなことに熱中できます。土間の書斎も、そんな空間のひとつなんですよ」と、石田さん。
 冬の寒さが厳しい北海道でも、住宅施工の際に基礎断熱を採り入れたり、床暖房を設置するなどの工夫で、暖かく過ごすことができます。土間をコンサバトリー風にしつらえ、インドアテラスとして利用する方法も。
 冬が長い北国だからこそ、住まいの中に土間という半戸外的な空間を設けることで、暮らしの楽しみがぐんと広がります。

書斎
土間の一角にある、書斎。ピアノは、ご主人が「基礎から習いたい」ということで、奥さんの実家から運んできたもの。

アジア家具
アジアの香りがする木製の椅子、階段にはバリの雑貨がさりげなく置かれている。

読書コーナー
北の住まい設計社のロッキングチェア、インテリアセンターのハイチェアとオットマン、本棚を置いたストーブ脇の読書コーナー。

モラ
奥さんがこつこつと仕上げたモラの作品。

■シアタールームのつくり方
 予算がなくても、ちょっとした工夫で快適な趣味空間を実現できます
 映画好きなら誰もが憧れる、自宅内のミニシアター。余分にひと部屋を取る空間の余裕も、設備にかける費用もないから…と、諦めてはいませんか。ところが、石田さんは「理想は、RC造の建物で、吸音効果の高い壁と防音設備を備えた地下室でしょうか。でも、今の木造は、気密性が高いので窓をしっかり閉めていれば、意外と音は漏れません」と、専門家の立場から意外な話をしてくれました。
 実際、Mさんの家も木造ですが、防音や音響の設備は特にしていません。ただし、万が一のため、隣家側に開口部を設けないよう配慮はしています。「音楽を真剣に聴くにもやはり、密閉された部屋が一番」と、開放的な造りの家の中で、ここだけはしっかりと密閉できる部屋にこだわりました。
 「機器は、凝るときりがないので、ほどほどに良いものでそろえました。でも、DVDと共通の音響システムでCDも楽しめるので、贅沢な気分が味わえますよ」とご主人。
 あまりの居心地の良さに、最近では音楽を聴くだけではなく、ご主人は自分のパソコンを運び入れて書斎としても活用しているとか。ある時は夫婦で映画観賞、ある時はひとりで好きな音楽を聴いたり仕事をしたり。そんな多目的に使える趣味の部屋は、空間の広さ以上に生活に潤いを与えてくれそうです。

シアタールーム
シアタールームでゆっくりと映画を見るのが、冬のお楽しみ。「実はプロジェクターから大量に熱が出るため、夏の映画鑑賞は我慢大会になっちゃうんです。だから、夏は気持ちの良いテラスでご飯を食べたり、お酒を飲んだりして楽しむことに専念し、その分、寒い冬に映画を満喫しています」と、ご主人。

シアタールーム

シアタールーム
80インチのスクリーンとサラウンドシステムで、映画館のように楽しめる。 スクリーンを上げると、壁には大きな布がかけられていた。



外観
庭の緑に溶け込むようにして建つMさん宅。「車の手入れも趣味のひとつ」というご主人のため、カーポートまわりには洗車やメンテナンスができる空間も取られている。

CDラック
シアタールームには、クラシックやジャズのCD約500枚を納めたラックも。
大音量でじっくりと聴きたいものだけを選んで置いてある。


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